ワールドの日記

認知症の母と暮らしてます。対処方法などが参考になれば幸いです。

動けるチャンスは何でも使う

私が お茶を飲みたいと思ったときは、母に声をかけます。

お茶入れ一つでも頭に刺激が行くのではないかと思います。必ず立たないと淹れられず、ただ「立つ」こと一つ取っても、普段ぼーっとしていることが多い母にとっては動くチャンスなのです動けるときは動いてもらいます。

 

 

 

母はお茶を入れようと立ち上がり、やかんに水を入れ、ガスをつけます。ガスをつけたら沸騰するまで待ちますが、その待ち時間の間に母は「自分がお茶を飲むためにガスをつけた」ことをすっかり忘れます。そのまま椅子に座って新聞の続きなんかを読み始めたりすると、やかんが焦げます。

 

そもそも、お湯が沸くまでにやっておく「急須や茶筒の用意」も忘れています。収納場所も忘れています。

「湯呑にやかんからお湯を注いで湯冷まし作って」と声掛けをしてやってもらい、急須に茶葉を入れてと伝え(だいたいいつもここで「どのくらいの量を入れればいいの~?」と返ってきます)冷めたころに「急須に茶葉が入っているからそこに湯呑のお湯を入れて!」と声掛けをして入れてもらいます。

名詞代わりの「そこ、あれ、それ」などと言っても通じないです。具体的に「急須」や「茶筒」と言っても複数個ある場合は「どれ~?」と選べなくなりますし、そもそも「急須って何?」「茶葉ってなんだっけ?」と言われることも多いです。

 

とはいうものの、面倒な時は私がさっさと入れて「はい、お茶~!飲む~?」と母に出すこともありますが・・・。

 

 

 

 

 

コロナと言ってもわからない

母に「コロナ」と言っても理解できません。母にとってコロナとは初めて聞く単語であり、認知症になってからの言葉なので、コロナと言う言葉を使っても、は?と言われるだけです。

 

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私はコロナのことを「新しいタイプの肺炎」と言い換えてます。肺炎という単語は昔からある言葉で、母にとっても耳なじみのある言葉なので、理解できます。

要するにコロナとは新しいタイプの肺炎であり、新しい為これに効く薬がまだ開発されていないということじゃないか、と私は(勝手に)判断しています。なので母にもそのように言います。

この先、新語が出てくるたびに、母には言い換えて説明しようと思います。ま、説明したところで忘れてしまうので、そのたびに言う必要があるのですが・・・。

 

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今気になっているのは何年後かに新しくなるお札です。お札のデザインが新しくなるのはいいのですが、母は混乱するだろうなぁ、と考えています。でもまぁ、お札の場合は数字がきちんと書かれていますし、お金を出すときは必ず私が横にいるのでものすごく大変なことはないと思います。が、お財布を覗くたびに何度も何度も「え?なにこれ?」と言われ続けると思います・・・。レジ横で・・・。

 

足音を聞く

認知症の母は、「危険なこと」「あぶないこと」は忘れていないようで、例えばアイロンの熱い面を下にしたまま長時間置いておいたりすることはありません。

が、唯一、ガスの始末だけは忘れます。以前、自分で沸かそうと火にかけたやかんのお湯が長時間沸騰状態で、私が気が付いた時にはやかんの底が焦げる寸前でした。

これを機会に、家の中で母のそばを離れる時は、30分に1回は母のいる場所に戻り、危険因子がないかどうかをチェックすることにしています。特に1階と2階でそれぞれ別の階にいるときは要注意です。

 
 
母がいる部屋の隣の部屋で私が自分のことをしているときは、足音を参考にしています。居る階が違う場合もこの方法を使って母の動きを読みます。
 
基本的に母は家の中が好きで、新聞を読んだり、テレビを見たり、お昼寝をしたりと座っていることが多く、家の中を派手に動き回ることは少ないです。そんな母が足音を立てるときはだいたいトイレに行くか、お茶を入れようとガスに火をつけるかの場合が多です。
足音が聞こえたら耳を澄まし、扉が開く音がすれば「ああトイレに行ったんだな」と判断し、うろうろするような足音が聞こえればお茶を飲みたいとか何か食べたいなどがあるんだな、などと考えて、近くに行って「何してるの~?」と声掛けをし、手伝います。

 

 

 

 

 

同行・外出してほしい

自分の持病で病院に行きたくても、母を一人で家に置いておくわけにはいかないので、一緒に外出してもらいたい時があります。ところが声掛けをすると「え~?出かけるの?いきたくない~・・・」と言われることがあります。

こういう時は「私の病院に付き合ってくれる?」とか「ちょっと街中まで付き合ってくれない?」などと言うと「いいよ」と言ってくれることが多いです。「荷物が多くなるから荷物持ち手伝ってくれない?」とか「軽めの検査があって、何かあってはいけないから一緒に来てくれない?」などと、助けてほしい!と言うサインを含めた言葉を投げかけると、事がスムーズに進むことが多いです。

本当は荷物なんかなくても、本当は検査なんかなくてもかまいません。一緒に外出できればいいのです。帰ってきてから「荷物は?」とか「検査したの?結果は?」などと聞かれることはまずないと思います。私はそれよりも、この外出時を使って母に歩いてもらいます。普段はバスや電車や地下鉄で移動しているところを、わざと歩きます。歩きながら花が咲いてるね、とか、古めかしい建物だね、とか、車気を付けて、などと声掛けしながら歩き、脳への刺激を意識します。

 

 

高齢になると、外出したくても天候や気温、湿度、風の強さなどで出かけるのが難しくなります。なので外出した時はチャンスととらえます。歩数を稼ぎ(スマホのあまりあてにならない万歩計を参考にして)、頭を使わせ、体を疲れさせて、夜にぐっすり寝てもらう作戦です。

 

デイに行くまでの道のり

家族はデイサービスに行って欲しくても、本人が行きたがらなかったり、そもそもどうやって声掛けをしていいかわからない、と言う方も多いと思います。母も集団行動が苦手なので、デイに行けるようになるまでいろいろ大変でした。しかし今ではデイサービスに週2回お世話になっています。週3回にまで引き上げようかと考えていますが、お金の問題もあり、考え中です。

 

 

 

集団行動が苦手な母にとって、デイは苦手だろうなぁ・・・とは思っていました。しかし毎日毎日ほぼ24時間母を見るのは限界なので、なんとかデイに行ってくれないかと考え始めました。初めは「こういうところがあるんだけど、行かない?」と声をかけても「え~、私はこういうところが嫌いなのよ~。人としゃべるのが苦手でねぇ~」の一点張りでした。資料を見せれば乗ってくれるかと思い、私一人で地域包括センターに行ってデイの資料をもらって見せたりしたのですが、嫌だというばかりで進展しませんでした。

 

それから1~2年した頃、いよいよ本気でデイに行ってもらいたいと思い、地域包括に連絡しました。以前は資料をもらうだけでしたが、職員の方に「何とかしてほしい」とお願いしてみたのです。すると職員の方は「わかりました。訪問してお話をさせてください」と言うのでその流れに乗ることにしました。

 

「今から人が来るから~」と母に話すとえ?だれ?と返されましたが、「なんかこの辺を訪問している人らしいよ~」などと普通に考えたらあり得ない返しで母に返事をして(あ、そうなの?とかなんとか曖昧な返事でした)職員さんを迎え入れました。

職員さんはさすが慣れた話し方で、デイというものがあること、デイではこういうことをやっています、こんな楽しいところです、☆☆(母の名前)さんもどうです?見学だけでも、と勧めてくれます。私も横から合いの手をいれて何とか母に「よさそうねぇ~、行ってみたいわ」と言って欲しかったのですが、さすがにそこまでは無理でした・・・。

 

それから何日にも渡って、貰った資料を片手に母に話しかけます。当の本人はデイと言う単語も、昨日来てくれた職員さんのこともすっかり忘れているので、一から話始めます・・・というより、既に職員さんやデイという単語はどうでもよく、「こういうところがあるんだけどどう?いいらしいよ?」とひたすら解説&力説を繰り返しました。施設名を繰り返し言い(デイと言う中途半端な呼び名よりも施設名を言ったほうが良い気がしたのです、具体的な根拠はないのですが・・)「見学だけでもどう?」と何回も何回も何回も話し、なんとか見学の許可をもらったのです!

が、実はコロナの影響で見学は本人のみで「見学だけなら・・・」とOKをもらってもそこからさらに「一人で行ってね!」と付け加えなければならず、それはそれでまた大変でした。いつも私がそばにいるから大丈夫なんであって「行ったこともないところに一人で行くなんて無理!」と言われればその通りなのです・・・。

本当に行ってくれるか不安でしたが、とにかく前へ進めたかったので、見学日を地域包括に連絡しました。その日まで、「あと〇日後、○○(施設名)に見学(見学と言うより実際は一日体験入学)に行くが残念ながら私は行けないので一人で行って。何かあったら携帯に連絡頂戴!」と繰り返し繰り返し説きました。「え~!」とも「や~だ!」とも言われたのですが、めげずに説きまくりました。母はとにかくすぐ忘れますし、施設名なんて当然忘れるので言ってもしょうがないのですが、それでもしつこくしつこく言い続けました。

 

見学当日、なんとかお迎えの時間まで支度を済ませて(これはこれで大変だった・・・)車が我が家まで来てくれました。降りてきた職員さんも優しく声掛けをしてくれて、なんとか車に乗ってくれました。ああよかった!車に乗ってくれさえすればあとは大丈夫!!

帰ってきた母は笑顔で、運転手さんに「ちょっと上がってお茶でも飲んで行きなさいよ!」と、どこが「人としゃべるのが苦手」なのだ?と思わせるような発言をし、一日緊張しまくっていた私の腰を抜かしました・・・。

渡された報告書によると、何度も帰りたい!と口にし、何度も玄関へ向かって歩き出したとの事。ああ、やっぱり大変だったんだなぁ、と思いました。

 

 

その後、そのデイサービスにお世話になることを決め、現在に至ります。母がデイで「家に帰りたい!」と完全に言わなくなるまで3か月前後かかったと思います(回数にすると12回前後)。そして、帰ってきて私が「楽しかった?」と聞くと、「なんだったかなぁ?覚えていないわ」と言われます。実際、デイで何をしているのかは私にはよくわからないのですが、その時その時を楽しく過ごしているようならいいかな、と思っています。何しろ家にいるときは家事意外これと言ってすることがなく、ボーっとしていることが多いのです。認知症は脳に少しでも刺激を入れたほうがいいので、人としゃべる、手足を動かす、いつもと違う環境で過ごす、というようなことをどんどんやってほしいのです。

積極的で前向きで人付き合いの良い人なら簡単なことでも、引っ込み思案で交流が苦手で、と言う方も大勢いると思います。デイに行ってくれるまでは本当に大変ですが、その人の性格を考慮して何とかデイに行く方向に持っていって欲しいなと思います。

 

病院に行きたくない!と言われたら

認知症の薬としてアリセプトという薬を飲んでいます。診察と薬の受け取りのために2~3か月に1回病院へ連れて行くのですが、病院嫌いの母は「え~?病院へ行くの~?いやだ~」と嫌がります。

 
そこで私は「もう予約しているから行かなきゃいけないんだ~」と声掛けをします。
 

 

 
 この声掛けをすると母は「え~、予約しちゃってるの~?じゃぁしょうがないかぁ・・・」と行く気になってくれます。もちろん「じゃぁ予約取り消しの電話をしてよ!」などと返される可能性もあるのですが、今のところ一度も言われたことがありません。なのでこの方法で対処しています。
 
病院へはなるべく自家用車で行くようにしています。公共交通機関を使うと時間がかかってしまい、その間に行きたくないと言われると困るからです。
母は車に乗っている間は行き先を忘れてます。なので車内で改めて「これからどこに行くかわかる~?病院に行くよ~」と言うと「え~病院?行きたくない」と言うのですが、走っているので降りるわけにもいかず、しょうがなく乗っている感じです。
 
問題は病院に到着して車を降りてそこから病院の診察室までどうやって行くか、ですが・・・嫌だ嫌だと騒ぐことなく母は普通に私の後ろをついてきてくれます。騒がない理由を推測すると、そもそも着いたところが病院とはわからない(病院の入り口の目の前で降りると建物全体が目に入らない)のと、ま、来ちゃったものはしょうがないという諦めの気分なのかもしれません。
 
2,3か月に1回行く病院であっても母にとっては「な~んかちょっと見たことがあるようなないような・・・?ここどこ?」という感覚なので、自分でいろいろ考えているうちに診察室に到着してしまうのだと思います。いつも隣にいる女の人(娘の私)がいるから「ま、いいか」という感じで。そして自分の名前が呼ばれて「え~?なんで私~?あんた(娘の私)じゃないの~?」とかなんとかぶつぶつ言いながら診察室に入る、と言うのがいつもの流れです。